相続や共同購入で不動産を「共有」している方へ。
共有状態を解消するための制度をやさしく説明します。
そもそも「共有」とは?
「共有」とは、ひとつの不動産を複数の人が一緒に所有している状態のことです。
たとえば、親が亡くなって兄弟姉妹が一緒に土地を相続した場合や、夫婦でマンションを購入した場合などが「共有」にあたります。
共有状態では、それぞれが一定の「持分(もちぶん)」を持ちます。
不動産を売ったり、大きな工事をする場合は、共有者全員の同意が必要です。誰か一人でも反対すると、話が進まなくなることがあります。
なぜ不動産が「共有」になるの?
相続によるケース
親が亡くなったとき、複数の子どもが土地・建物を一緒に相続すると共有状態になります。
相続が繰り返されるほど、共有者の数が増えて複雑になります。
共同購入によるケース
夫婦や親子でお金を出し合って不動産を購入すると、出資した割合に応じた「持分」を持つ共有状態になります。
共有状態でどんな問題が起きる?
問題① 売却や大規模工事ができない
不動産を売ったり、取り壊したりするには共有者全員の同意が必要です。
一人でも「反対」すると実行できません。
問題② 管理がうまくいかない
修繕や賃貸に出すなどの管理行為には、持分の過半数を持つ共有者の同意が必要です。
意見がまとまらないと放置されることも。
問題③ 世代を重ねるほど複雑になる
共有者に相続が発生すると、さらにその子どもたちが共有者に加わります。
関係が遠くなるほど、話し合いが難しくなります。
「共有物分割請求」とは?
「共有物分割請求」とは、共有者の一人が「共有状態をやめたい」と申し出ることができる権利です。
民法(第256条)では、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」と定めています。
他の共有者が同意しなくても請求することができ、話し合いがまとまらない場合は裁判所に判断を求めることも可能です。
分割の3つの方法
1 原則的な方法 現物分割(げんぶつぶんかつ)
不動産そのものを物理的に分ける方法です。広い土地を持分に応じて区画に分けるなど、実際に「形として」分割します。
もっとも公平な方法ですが、建物などでは現実的でないことも多いです。
2 現物分割が難しい場合 競売(きょうばい)
裁判所の命令で不動産を競売にかけ、売却して得たお金を持分に応じて分配する方法です。
現物で分割できない場合や、分割すると価値が大きく下がる場合に用いられます。
3 判例で認められた方法 価格賠償による分割(かかくばいしょうによるぶんかつ)
共有者の一人が不動産全体を取得する代わりに、他の共有者には持分に相当するお金を支払う方法です。
たとえば「6分の5の持分を持つAが不動産を取得し、6分の1の持分のBには125万円を支払う」といった形で精算します。
実際の裁判例(ビルの共有分割)
手続きの流れ
- 共有者間で話し合い(協議)
- まずは共有者全員で話し合い、分割の方法や金額について合意を目指します。これを「協議」といいます。
- 調停(ちょうてい)
- 話し合いがまとまらない場合、裁判所の調停委員に間に入ってもらい、解決を図ります。
- 訴訟(そしょう)
- 調停でも解決しない場合は、裁判所に訴えを起こします。裁判所が適切な分割方法を判断・命令します。
- 共有状態の解消
- 裁判所の命令に基づき、不動産の分割や金銭の支払いが行われ、共有状態が終了します。
よくある質問
- Q持分が少なくても分割請求できますか?
- A
はい、できます。民法では持分の大小に関わらず「各共有者はいつでも分割を請求できる」と定められています。
- Q分割しないという合意(不分割特約)はできますか?
- A
5年以内の期間であれば、共有者全員の合意で「分割しない」という特約を結ぶことができます(更新も可)。
ただし、裁判所が特別な事情があると認めた場合は、特約があっても分割が命じられることがあります。
- Q費用はどのくらいかかりますか?
- A
協議で解決できれば費用は最小限ですが、調停・訴訟になると弁護士費用や裁判費用がかかります。
また、鑑定費用が発生する場合もあります。早めに専門家へ相談することをお勧めします。
- Q連絡が取れない共有者がいる場合は?
- A
訴訟の場合、所在不明の共有者がいても手続きを進められる制度があります。
弁護士や司法書士にご相談ください。
共有不動産の問題、一人で悩まないでください
相続や共有にまつわるトラブルは、早めの相談が解決の近道です。
不動産の専門家にお気軽にご相談ください。
本ページは、公益社団法人 全日本不動産協会の情報をもとに、一般の方向けにわかりやすく再構成したものです。
法的な判断が必要な場合は、必ず弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。

